ビバリウムづくりを始めるとき、必ず迷うのが「素材選び」です。
植物や苔を元気に育てるためには、底床材・下地材・配置する石や流木など、環境を支えるパーツをどう選ぶかが重要になります。
その中でよく名前が挙がるのが 「軽石」。
ホームセンターや園芸ショップでも見かけますが、「実際にどう使えばいいの?」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。
本記事では、軽石の特徴・メリット・デメリット・使い方・相性の良い植物や素材まで、初心者でも理解できるように解説します。
さらに、olmoでの制作事例も交えて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1. 軽石とはどんな素材?

軽石は、火山活動で噴出したマグマが急冷されることで生まれる天然素材です。
スポンジのように多孔質で軽量、そのため「軽石」と呼ばれています。
かるいし【軽石】
火山噴出ふんしゅつ物の一種いっしゅで,多量たりょうの小さな穴あながあるために,見かけの比重ひじゅうが小さく,白っぽい岩片がんぺん。水にうくものが多いため,浮石ふせきともいう。直径ちょっけい数cmのものから10m以上いじょうのものまである。コーチ
二酸化にさんかケイ素そ分の多いマグマが噴出ふんしゅつするとき,内部からガスが発泡はっぽうしてできる。
キッズネットより引用
軽石の特徴
- とにかく軽い → 棚に置くガラス容器でも安心
- 通気性・排水性が良い → 根腐れや蒸れを防止
- カビや腐敗に強い → 長期間安定した環境を維持
この特性から、園芸・アクアリウム・ビバリウムの世界で幅広く使われています。
ただし、見た目はやや地味。むしろ「縁の下の力持ち」として使われることが多い素材です。
2. ビバリウムに軽石を使うメリット

こちらのビバリウムは軽いしと、ソイルを使用したビバリウムです。
✅ 排水性が良く、底床材に最適
ビバリウムの定番構造「false bottom(排水層)」にぴったり。
余分な水分をため込みにくく、苔や植物を蒸れから守ります。
✅ 高さや地形づくりに便利
軽石は非常に軽いため、高さを出す土台にしても重量が増えません。
立体感のあるレイアウトを作りたいときに役立ちます。
✅ 苔や植物が活着しやすい
表面の凹凸は苔や着生植物が絡みつきやすい構造です。
時間が経つと自然な景観に近づくのも魅力です。
3. 注意点・デメリットと対処法
軽石は万能に見えますが、注意点もあります。
- 軽すぎてズレやすい
→ 壁面に使う場合は接着剤やグルーガンで固定すると安心。 - 品質にバラつきがある
→ 安価なものは崩れやすいので、レビューを確認して購入する。 - 水質に影響する可能性
→ 水棲生物を入れる場合はpH変化に注意。事前に水に浸けて確認しましょう。生き物を飼育したりする場合はより気を付ける必要があるでしょう。
4. 軽石のおすすめの使い方3選
4-1. 排水層として底に敷く
もっとも定番の使い方です。
軽石 → メッシュシート → ソイルや赤玉土(など土部分)の3層構造にすることで、通気性・湿度保持・水はけのバランスが良くなります。
4-2. 苔の活着ベースにする
軽石を水で湿らせ、その上に苔を置くと表面に馴染みやすくなります。
数日間ラップで覆って湿度を保つと、苔の仮根(リゾイド)が軽石の凹凸に絡んで固定されやすい状態になります。
ただし「完全に根が張る」というわけではなく、活着しやすい下準備としての効果が大きいです。
長期的に定着させたい場合は、テグスや糸で軽く巻いて固定し、光と湿度の管理を続けることが大切です。
4-3. 地形を作る下地材として
傾斜や段差を作りたいとき、軽石は軽くて扱いやすい素材。
重い天然石よりも安全にレイアウトの下地が作れます。
特に滝や川を模したビバリウムでは重宝します。
5. 軽石と相性の良い植物&素材
苔類
- コツボゴケ
細かい仮根で表面に絡みやすく、軽石の凹凸にしっかり馴染む。 - ホソバオキナゴケ
乾燥に比較的強く、軽石の排水性と相性が良い。 - ヒノキゴケ
立ち上がる姿が軽石の段差に映え、活着もしやすい。
着生植物
- フィカス・プミラ
吸盤状の根を出すため、軽石の凹凸に絡みやすい。 - シダ類
湿度を好み、軽石の保水性と通気性が育成環境に適している。 - ポトス
強健で活着力が強く、軽石に根を伸ばして安定する。
相性の良い素材
- 流木:軽石と組み合わせると、森の倒木風の自然な景観を演出できる。
- レジン:水辺や滝のベースに軽石を仕込み、レジンで水の表現を追加すると安定感が増す。
- 木材:軽石で高さを出し、木材を配置することで立体感が強調される。
- グルーガンなどの固定資材:軽石の軽さを補い、斜面や壁面レイアウトを安定させる。
👉 軽石は「凹凸がある」「軽い」「保水と排水のバランスが良い」ため、根を張るタイプ・湿度を好むタイプの植物と特に相性が良いのです。
苔や植物が育つにつれて軽石の存在は隠れ、自然な風景に仕上がります。
6. 他の底材との比較
軽石 vs ハイドロボール
- 軽石:天然素材で通気性・排水性に優れる
- ハイドロボール:人工素材で均一だが重量感あり
軽石 vs ゼオライト
- 軽石:排水性重視
- ゼオライト:水質浄化に優れる(吸着力が高い)
軽石 vs 赤玉土・鹿沼土
- 軽石:下地材・排水層に向く
- 赤玉土・鹿沼土:植物の育成に向く(pHが安定しやすい)
👉 ポイントは「組み合わせて使う」ことです。
7. よくある質問(Q&A)
Q. 軽石は100均でも使える?
→ 小型のテラリウムなら利用可能。ただし耐久性や品質は園芸用に劣ります。
Q. 長期間使っても崩れない?
→ 高品質の園芸用軽石は長持ちします。安価なものは崩れることも。
Q. 水棲生物と一緒に使える?
→ pH変化の可能性があるため、事前に水質チェックを行いましょう。
9. まとめ|軽石はビバリウム初心者の強い味方
- 軽石は「軽い・通気性が良い・苔が馴染みやすい」万能素材
- 排水層、地形づくり、活着ベースなど幅広く活用可能
- デメリットを理解し、品質を選べば長期間安心して使える
- 見た目は地味でも、ビバリウムを支える大切な素材
これからビバリウムを始める方は、ぜひ軽石を活用してみてください。