1. はじめに|「オイルに入れるやつと一緒?」という質問から
イベントやマルシェで苔テラリウムを展示していると、必ずといっていいほど聞かれる質問があります。
それが、「これ、オイルに入れるやつ?」「ハーバリウムと一緒ですか?」というものです。
見た目はどちらもガラスの中に植物が入っていて、透明感のある美しいインテリア。
けれどもその中身はまったく違います。
テラリウムは生きた植物を育てる小さな自然の箱庭であり、ハーバリウムは乾燥させた植物をオイルで保存する標本です。
この違いを理解しておくことで、どちらを選ぶべきか・どう飾ればよいかがはっきり見えてきます。
この記事では、テラリウムとハーバリウムの違いを初心者にもわかりやすく解説しながら、実際に選ぶ際のポイントやお手入れのコツまで詳しく紹介します。
2. テラリウムとは?|“小さな自然を育てる”ガラスの世界
「テラリウム(Terrarium)」の語源は、ラテン語の「terra=地球・大地」と「-rium=場所」を組み合わせた言葉。
つまり“ガラスの中の小さな地球”を意味します。
テラリウムでは、苔やシダ、多肉植物など生きている植物を使います。
湿度や光の量をコントロールしながら、容器の中で植物を育てることが特徴です。
特に苔テラリウムは、狭い空間でも育つ植物の強さと繊細な美しさから人気が高まり、「第二次苔ブーム」とも呼ばれるほど注目されています。
ガラス容器の中では、植物たちが呼吸し、水分が循環することで小さな生態系が保たれています。
そのため、オイルや防腐剤は一切使用せず、自然の力のみで成り立っているのがテラリウムの魅力です。
テラリウムの魅力ポイント
- 生きている植物がゆっくりと成長する姿を観察できる
- 季節によって表情が変わり、管理する楽しさがある
- 土・石・流木など自然素材を組み合わせて世界観を表現できる
- 小さなスペースでも自然を感じられる
テラリウムは「育てるインテリア」。
お世話を通して植物との対話を楽しみたい人にぴったりです。
3. ハーバリウムとは?|“美しさを閉じ込める”植物標本
「ハーバリウム(Herbarium)」の語源は、英語の「herb=植物」と「-arium=場所」。
もともとは研究用の植物標本を意味する言葉でした。
現在では、ドライフラワーやプリザーブドフラワーを専用の透明オイルに浸して瓶に封じ込めるインテリア雑貨として人気があります。
オイルの中で植物がゆらめき、光を受けると美しく反射するため、窓辺や玄関に置くだけで空間が華やかに。
手入れも不要で、見た目の美しさを長く楽しめます。
ハーバリウムの魅力ポイント
- 枯れない・水やり不要で管理が簡単
- 色鮮やかなまま長期間保存できる
- オイルが光を反射してインテリア性が高い
- ギフトや記念品として人気がある
ハーバリウムは「飾るインテリア」。
手間をかけずに花や植物の美しさを楽しみたい人に向いています。
4. テラリウムとハーバリウムの違いを比較(一覧表)
| 項目 | テラリウム | ハーバリウム |
|---|---|---|
| 植物の状態 | 生きている(苔・多肉など) | 乾燥・加工済み(ドライ・プリザーブド) |
| 主な素材 | 土・石・流木・ガラス容器 | オイル・瓶・ドライフラワー |
| お手入れ | 水分・光・通気の管理が必要 | お手入れ不要 |
| 変化 | 成長・季節で変化する | 長期間形が固定される |
| 向いている人 | 自然を育てたい人 | 手軽に楽しみたい人 |
| 主な目的 | 育成・観察・癒し | 保存・鑑賞・贈り物 |
こうして見ると、テラリウムは“育つ楽しみ”、ハーバリウムは“飾る美しさ”が魅力。
どちらも植物の魅力を引き出すインテリアですが、「命があるかどうか」で性質が大きく異なります。
5. オイルに入れるやつ=どっち?
よくある質問「オイルに入れるやつってテラリウム?」の答えは――いいえ、ハーバリウムです。
ハーバリウムは専用の透明オイル(流動パラフィン系など)を使い、乾燥植物を封じ込めて飾ります。
一方のテラリウムでは、オイルは使いません。
苔や植物は生きているため、空気と水分が必要。
もしオイルを入れてしまうと、呼吸ができずすぐに枯れてしまいます。
つまり、
- オイルで保存=ハーバリウム(標本型)
- 水と空気で育つ=テラリウム(生育型)
同じ「ガラス+植物」でも、目的も構造もまったく違うのです。
6. どちらを選ぶ?あなたに合う植物インテリア診断
ハーバリウムが向いている人
- 忙しくてお世話の時間が取れない
- 水やり不要で気軽に楽しみたい
- 部屋の彩りやギフト用に飾りたい
- 色鮮やかなインテリアを長持ちさせたい
テラリウムが向いている人
- 植物を育てるのが好き
- 変化や成長を観察するのが楽しい
- 自然の景色や小さな森を再現したい
- 自分だけのレイアウトで癒されたい
「動かない美しさ」か「生きる美しさ」か――どちらを求めるかで選び方が変わります。
どちらも正解。大切なのは、“自分に合う癒し方”を見つけることです。
7. よくある質問(Q&A)
Q1:テラリウムにオイルを入れても大丈夫?
A:入れてはいけません。植物は呼吸できず、数日で枯れてしまいます。テラリウムでは水分と空気の循環が命です。
Q2:ハーバリウムはどのくらい持つの?
A:約1〜2年が目安。直射日光を避け、冷暗所で飾ると長持ちします。
オイルが黄変した場合は交換が必要です。
直射日光のもとにさらすと1-2時間もしないうちにオイルなどが変色するそうなので注意が必要です
Q3:テラリウムのお手入れは難しい?
A:苔の場合、1週間に1回霧吹きで軽く水分を補うだけ。
ガラスが曇ったり水滴が多いときはフタを開けて換気を。
Q4:どちらが人気?
A:SNSではハーバリウムが映える人気、イベントや癒しインテリアではテラリウムが再注目されています。
「苔×LEDライト」など新しい表現も増えています。
小さいお子さんはハーバリウムのキラキラとした様子にとても目を引くようです。
テラリウムの方は体験する子供の年齢が低いと場合途中で飽きてしまう可能性のあるので親御さんの強力が必要です。
Q5:テラリウムにドライフラワーを入れてもいい?
A:装飾的には可能ですが、湿気でカビる可能性があります。
生きた苔との組み合わせは避けた方が安全です。
Q6:ギフトにするならどっち?
A:長期保存・配送のしやすさではハーバリウム。
贈った後も育てて楽しんでほしいならテラリウムがおすすめです。
8. olmo+のおすすめ|“育てる喜び”を感じる苔テラリウム

神戸・長田のolmo+(オルモプラス)では、苔テラリウムを中心に、自然と共に生きる小さな世界を提案しています。
苔の種類やレイアウト、ガラスの形によって生まれる風景はひとつとして同じものがありません。
たとえば、流木の上にコツボゴケを乗せた作品は「森の一瞬」を切り取ったよう。
川砂を使えば“渓流のせせらぎ”を表現でき、LEDライトを当てれば幻想的な空間が生まれます。
初心者の方には、苔と容器・ピンセット・スプレーがセットになった「スターターキット」もおすすめ。
また、ワークショップでは作りながら苔の管理方法も学べるため、初めてでも安心です。
ハーバリウム作家様で、ワークショップスペースをお探しの場合もお問い合わせいただけましたらolmo+にてワークショップを開催していただきます。
9. まとめ|“育てる”か“飾る”かで選ぼう
- テラリウム:生きた植物を育てる自然の箱庭
- ハーバリウム:乾燥植物をオイルで封じた保存標本
どちらも植物の魅力を身近に感じられる素敵なインテリアです。
ただし、求める癒しの形が違います。
育てる時間を楽しみたいならテラリウム、
手軽に美しさを楽しみたいならハーバリウム。
あなたの暮らしに合う“リウム”を選んで、
日常の中に小さな自然を取り入れてみてください。


