黒っぽい背中と、鮮やかな赤いお腹。ゆっくり歩いたり、水中をすいすい泳いだりするイモリは、見れば見るほど不思議でかわいい生き物です。
一方で、「イモリは何類?」「毒があるって本当?」「家庭で飼育できる?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、日本でよく知られるアカハライモリを中心に、生態・毒・寿命・餌・飼育環境を初心者向けにまとめます。実際に自宅でイモリを飼育しているolmo+が、ビバリウムで楽しむ際の注意点も紹介します。
まず知りたい|アカハライモリの基本情報
| 和名 | アカハライモリ(ニホンイモリ) |
| 学名 | Cynops pyrrhogaster |
| 分類 | 両生綱・有尾目・イモリ科 |
| 大きさ | 全長およそ7~14cm |
| 自然分布 | 本州・四国・九州と周辺の島々 |
| 主な生息環境 | 水田、池、小川、農業用水路など |
| 食べ物 | ミミズ、昆虫、カエルの幼生など |
| 特徴 | 黒褐色の背中と、赤い腹部の模様 |
アカハライモリは爬虫類ではなく、カエルやサンショウウオと同じ両生類です。水辺で暮らしますが、成長段階や個体の状態によって陸上も利用します。水だけ、陸だけに偏らない環境づくりが大切です。
[画像:飼育しているアカハライモリの全身。背中と赤い腹部の特徴が分かる写真]
イモリとヤモリの違い
名前がよく似ているイモリとヤモリですが、分類も暮らし方も異なります。
- イモリ:両生類。水辺との関わりが深く、皮膚はしっとりしている
- ヤモリ:爬虫類。家の壁などにも現れ、うろこのある乾いた皮膚を持つ
覚え方として「井戸を守るイモリ」「家を守るヤモリ」と紹介されることがあります。実際には生息場所が必ずその通りとは限りませんが、違いを覚えるきっかけになります。
イモリがかわいいと感じる5つの魅力

1.小さな手足でゆっくり歩く
水中ではなめらかに泳ぎますが、陸場では小さな手足を使ってゆっくり移動します。その少し不器用にも見える動きが、イモリの大きな魅力です。
2.個体ごとに腹部の模様が違う
赤やオレンジ色のお腹には黒い斑紋があり、その入り方には個体差があります。模様を見比べると、それぞれの個性が感じられます。
3.水中と陸上で違う姿を見せる
泳ぐ、底を歩く、石の上で休む、物陰からこちらを見る。水場と陸場を行き来できる環境では、さまざまな行動を観察できます。
水中が好きな個体と、あんまり水得意じゃない?という個体といるのも面白いです。自宅で飼育しているアカハライモリは水が嫌いなのかな?と陸にいることが多いです。
4.環境を観察する楽しみがある
水温、水質、隠れ家、餌への反応などを毎日少しずつ確認することで、個体の好みや生活リズムが見えてきます。
5.自然に近いビバリウムと相性がよい
水場、苔、石、流木、植物を組み合わせると、小さな水辺の景色を室内に再現できます。ただし、見た目よりも掃除のしやすさと生体の安全を優先して設計していると、後々掃除もしやすいので子供でも水替えがしやすいです。

こちらの水槽は、私が苔テラリウムを始めるきっかけとなり、ネットで購入させてもらったビバリウムです。一度は苔が枯れてしまいましたが、手入れを学び復活したことでキレイな緑を取り戻しています。
イモリには毒がある?触っても大丈夫?
アカハライモリは、皮膚や体内にテトロドトキシンと呼ばれる神経毒を持つことが知られています。赤い腹部は、捕食者に毒の存在を知らせる警戒色と考えられています。
必要以上に怖がることはありませんが、「触ったあとに手を洗えば絶対に安全」とは断定できません。観賞を基本にし、世話で接触が必要な場合は次の点を守りましょう。
- 素手で何度も触らず、必要に応じて清潔な手袋を使う
- 触れた後は石けんと流水で手を洗う
- 世話の途中で目・口・傷口に触れない
- 小さな子どもだけで触らせない
- イモリを触った手で餌や食器を扱わない
また、人の手に付いたハンドクリーム、洗剤、消毒剤などはイモリの皮膚に負担をかける可能性があります。イモリ自身を守る意味でも、むやみに触らず観察を中心に楽しむのがおすすめです。
アカハライモリの寿命
イモリは小さな体から想像するより長く生きることがあります。飼育を始めるときは、一時的な興味だけでなく、長期間世話を続けられるかを家族で確認しておきましょう。
寿命は個体差や飼育環境によって大きく変わるため、「必ず何年生きる」とは言えません。お迎え前には、日常の世話だけでなく、旅行時の管理、病気やけがへの対応、将来の引っ越しまで考えておくと安心です。
イモリは何を食べる?餌の種類と与え方
野生のアカハライモリは、ミミズや昆虫、カエルの幼生などを食べます。飼育下では、購入元で食べていた餌を確認し、その個体が無理なく食べられるものから始めます。
- イモリ用の人工飼料
- 冷凍赤虫などの水生生物向けフード
- 個体の大きさに合う小型の生餌
食べ残しは水質悪化につながるため、放置せず取り除きます。食欲や食べ方には個体差があります。急に食べなくなった、痩せてきた、動きが明らかに違う場合は、温度や水質を確認し、両生類を診療できる動物病院へ相談してください。
飼育している個体にも餌の好みがあります。一般的な情報だけで決めず、実際の反応を観察しながら調整することが大切だと感じています。
初心者向け|イモリの飼育環境で大切なこと
イモリの飼育は、容器に水を入れるだけではありません。脱走、水質悪化、高温、隠れ場所不足を避け、個体の状態を観察しやすい環境にします。
脱走できない蓋を用意する
イモリは壁面や器具を利用して思いがけない隙間から脱走することがあります。通気を確保しながら、個体が抜けられない蓋を使用します。配線やチューブの周囲も確認してください。
水場と休める陸場をつくる
水中だけでなく、水面から容易に上がれる足場や陸場を用意します。石や流木は崩れないように固定し、挟まり事故が起きない配置にします。個体の行動を見ながら、水場と陸場の割合を調整します。
水質を清潔に保つ
食べ残しや排せつ物を取り除き、水のにおい、濁り、表面の膜を確認します。水換えの量や頻度は、容器の大きさ、個体数、ろ過の有無によって変わります。急激な水温変化を避け、飼育環境に合った方法を選びます。
高温と直射日光を避ける
ガラス容器や水槽は、直射日光が当たると短時間で温度が上がることがあります。窓際や暖房器具の近くを避け、温度計で確認できるようにします。夏は部屋全体の温度管理も必要です。
隠れ家を複数用意する
石、流木、植木鉢の一部などを使い、落ち着いて休める場所をつくります。複数飼育では、すべての個体が同時に隠れられるよう、隠れ家を複数設けます。
[画像:水場・陸場・隠れ家・蓋の位置が分かる飼育レイアウト全景]
イモリをビバリウムで飼育するときのポイント
イモリと植物を一緒に楽しむビバリウムは美しい一方、作り込みすぎると掃除や健康確認が難しくなることがあります。最初はシンプルに始め、個体の行動を確認しながら少しずつ植物や素材を足す方法がおすすめです。
- 底床や石を簡単に取り外せるようにする
- 水がよどむ場所をつくらない
- 生体に倒れかかる石や流木を置かない
- 餌を食べたか確認できる場所を残す
- 植物用の肥料や薬剤を安易に使わない
- 陸場へ無理なく上がれる傾斜をつける
苔は自然な景観をつくるのに役立ちますが、「苔に適した環境」と「イモリに安全な環境」が常に一致するとは限りません。生体の安全と管理のしやすさを最優先にしてください。
野生のイモリを見つけたときに知っておきたいこと
アカハライモリは日本固有の両生類ですが、生息環境の悪化や飼育・販売目的の採集などにより減少が指摘され、環境省レッドリストでは準絶滅危惧(NT)と評価されています。地域によっては条例等で捕獲が制限されている場合もあります。
飼育したい場合は、採集場所の規則を確認し、安易な野生採集は避けてください。また、一度飼育した個体を野外へ放すことは、病原体や地域個体群への影響につながるおそれがあります。最後まで責任を持って飼育します。
よくある質問
Q.イモリは爬虫類ですか?
いいえ。イモリは両生類です。爬虫類のヤモリとは別のグループです。
Q.イモリを素手で触ってもよいですか?
観賞を基本にし、必要以上に触らないことをおすすめします。世話で接触した場合は石けんと流水で手を洗い、目・口・傷口に触れないでください。子どもだけで扱わせないことも大切です。
Q.水だけの水槽で飼えますか?
水場だけでなく、容易に上がれる足場や陸場を用意する方が安心です。個体の状態や行動に合わせて調整してください。
Q.何匹か一緒に飼えますか?
容器の広さ、個体差、餌の競合などを考える必要があります。隠れ家を複数用意し、食べられていない個体や追われている個体がいないか観察します。異変があれば分けて管理します。
Q.イモリの元気がないときはどうすればよいですか?
水温、水質、脱皮、餌、外傷などを確認します。原因が分からない、状態が続く、明らかな異常がある場合は、インターネット上の情報だけで判断せず、両生類を診療できる動物病院へ相談してください。
まとめ|イモリは「触る」より「観察する」ほど魅力が見えてくる
アカハライモリは、赤いお腹、個性のある模様、水中と陸上で見せる異なる動きが魅力的な日本固有の両生類です。
毒を持つこと、長期間の飼育が必要になること、脱走や高温、水質悪化に注意が必要なことを理解したうえで、むやみに触らず、日々の変化を観察しながら付き合っていきましょう。
自然に近い景観を楽しめるビバリウムも、まず大切なのはイモリが安全に過ごせて、飼育者が無理なく管理できることです。小さく始め、個体の様子を見ながら環境を整えてください。
olmo+のビバリウム制作・ご相談
olmo+では、苔や植物、石、流木を使ったテラリウム・ビバリウム作品を制作しています。生体を迎える前のレイアウト相談や、管理しやすい景観づくりについても、お気軽にお問い合わせください。
※生体の診断や治療に関するご相談には対応できません。体調に異常がある場合は、両生類を診療できる動物病院へご相談ください。
▶ ビバリウム・テラリウムのオーダー相談:https://olmo.work/terrarium_order
▶ olmo+お問い合わせ:https://olmo.work/mail
参考資料
- 環境省「アカハライモリ:レッドリスト/レッドデータブック」
- 環境省 いきものログ「アカハライモリ」
- 国立環境研究所 侵入生物データベース「アカハライモリ」
- 京都大学理学研究科「アカハライモリをくわえたシマヘビの死体」
情報確認日:2026年8月12日


